母子家庭になると手続きしなければならないことがたくさんあると思いますが、今回はそのなかの1つ、児童扶養手当についてです。
母子手当とか母子家庭手当と呼ばれるやつですね。
今では父子家庭の方でも条件を満たせば支給されるので「児童扶養手当」という言い方が正しいですね。
この児童扶養手当は所得や子供の人数などで支給される金額が変わります。
母子家庭の平均年収から見ると全額支給停止になる人は少ないかと思いますが、せっかくなら満額もらいたい気持ちもわかります。
そこで今回は児童扶養手当を満額もらうには年収はいくらまでに抑えればよいのか?所得制限と計算方法についてお伝えしたいと思います。
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児童扶養手当を満額もらうには年収いくらまで?
いろいろと条件があり簡単にお伝えするのがむずかしいのですが、
子供が2人の場合、前年の年収が215万円以下
子供が3人の場合、前年の年収が270万円以下
であれば満額の支給になります。
ただ、これは単純に年収だけで計算した金額で、養育費や控除額を考慮していません。
そこで児童扶養手当の計算方法をもう少し詳しく見ていこうと思います。
児童扶養手当の計算方法
児童扶養手当の支給額が決まるのは主に
・所得
・養育費
・扶養人数
この3つを考慮して決まります。
そして、これらの条件は前年、あるいは前々年の状況で決まります。
1月~6月は前々年の状況
7月~12月は前年の状況
で決まります。
たとえば、2019年の4月に申請をするのであれば、2017年の所得などで支給される金額などが決まります。
なので、今年の収入は、来年もらう児童扶養手当の金額の計算に使われるわけです。
それでは計算方法です。
前年(前々年)の所得+養育費の8割-8万円-各種控除
この式で計算した金額が下の表の金額以下であれば全部支給となります。
扶養人数 | 全部支給 |
扶養人数0人 | 49万円以下 |
扶養人数1人 | 87万円以下 |
扶養人数2人 | 125万円以下 |
扶養人数が3人目以降は1人増えるごとに38万円加算されます。
と、いうことなんですが、わかりにくいですよね。
そこで一度用語の解説をした後に実際に計算してみたいと思います。
前年(前々年)の所得
こちらは収入では無く、所得という点に注意です。
収入が給与だけであれば
給与収入-給与所得控除額で求めた金額です。
源泉徴収票だと「給与所得控除後の金額」の部分ですね。
給与以外に収入があれば確定申告をしていると思うので、その場合は確定申告書の「所得金額の合計」の欄の金額です。
養育費
前年に養育費をもらっている場合は、もらった金額の8割を所得に加算するルールになっています。
こちらは初めて児童扶養手当を申請する場合は0円になると思います。
-8万円
児童扶養手当の所得を計算するうえで一律8万円を引くことができます。
各種控除
該当する控除があれば所得から引くことができます。
障害者控除 | 27万円 |
勤労学生控除 | 27万円 |
特別障害者控除 | 40万円 |
雑損控除 | 相当額 |
医療費控除 | 相当額 |
小規模企業共済等掛金控除 | 相当額 |
配偶者特別控除 | 相当額 |
さらに寡婦控除・特別の寡婦控除といった控除もありますが、こちらは母親は使えず、子供から見たおじいちゃんやおばあちゃんなどが申請するときに使うことができる場合があります。
扶養人数
これは一般的に子供の人数ですね。
子供をたくさん扶養していれば稼げる金額も多くなるってことです。
ただ、さきほどもお伝えしたように前年(前々年)の状況で決まります。
たとえば、離婚(死別)をする前に子供が夫の扶養だった場合あなたの扶養は0人になります。
あなたが離婚(死別)する前、専業主婦や夫の扶養の範囲内で働いていた場合はこのケースになることが多いと思います。
初めて申請する場合と2回目の申請では満額もらうための年収の上限が変わってくるのはこのためです。
計算例
・離婚をする前は子供は夫が扶養していた
・離婚して子供を2人引き取った
・離婚をする前年は年収122万円
このケースだと今年の7月以降に初めて児童扶養手当を申請することになるので、前年の状況で判断します。
前年の収入は122万円なので、給与所得に直すと57万円です。
前年はまだ離婚していないので養育費は0円です。
一律で引くことのできる8万円。
各種控除は無しとします。
これを計算式に当てはめてみましょう。
・前年(前々年)の所得+養育費の8割-8万円-各種控除
57万円+0円-8万円-0円=49万円
この49万円は扶養が0人のときの全部支給の限度額です。(子供は夫が扶養にしていた)
つまり年収に直したときは年収122万円が満額もらえる上限になります。
離婚をする前、専業主婦であった場合や夫の扶養内で働いていた場合は全部支給になるケースが多いと思います。
・離婚をした後、子供2人を自分の扶養にした
・前年の年収が215万円(離婚をした年の年収)
・養育費はもらっていない
前年の年収215万円を給与所得に直すと132.5万円です。
養育費はもらっていないので0円です。
各種控除は無しとします。
この金額を計算式に当てはめてみます。
・前年(前々年)の所得+養育費の8割-8万円-各種控除
132.5万円+0円-8万円-0円=124.5万円
今回のケースだと前年に子供2人を自分の扶養にしているので全部支給の所得限度額は125万円です。
子供を2人扶養しているなら、年収だけで見た場合215万円が全部支給になるギリギリのラインですね。
児童扶養手当の全部支給の金額
児童扶養手当の支給額は変更されることもありますが、2019年4月からの支給額はこちらです。
子供の人数 | 全部支給の金額(月額) |
子供1人 | 42,910円 |
子供2人 | 10,140円加算 |
子供3人 | 6,080円加算 |
3人目以降は6,080円が加算されます。
たとえば、子供が4人いる場合、
42,910円+10,140円+6,080円+6,080円=65,210円
2人目、3人目の加算額が少ない気もしますが今の所この金額です。
まとめ
・離婚をして初めて申請する場合は扶養人数が0人であることが多いので所得制限の金額が少ない。
その場合、給与収入だけでみると年収122万円以下で全部支給。
・前年から子供を扶養していた場合、(給与収入のみで養育費など無し)
子供が1人・・前年の年収が160万円以下
子供が2人・・前年の年収が215万円以下
子供が3人・・前年の年収が270万円以下
子供が4人・・前年の収入が324万円以下
で、全部支給。
今回は満額もらうための年収について書いてきましたが、この金額を超えた収入があったとしても一部支給の制度もあり、全くもらえないというケースは少ないと思います。
細かい条件などは地域によって異なることもあるので、詳しくはお住いの自治体などに相談してみるのも良いかと思います。
前年の収入によっては住民税も非課税になることもあるのでよかったらご確認ください。
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