こういった方、実は多いんです。
確かに税金と聞くと複雑そうなイメージもあって、意外と知識があいまいだったりしますよね。
さらに、
こういったケースの場合はこう。
逆にこういったケースの場合はこっち。
みたいな感じで明確な答えがなく、人によって異なることは多々あります。
そんなわかりにくい年収の壁ですが今回は、パート主婦が年収の壁を超えるとどういったお金を払うことになるのか、簡単にわかりやすくまとめてみたので是非ご確認ください。
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パート主婦の年収の壁とは?
夫婦ともに正社員であれば年収の壁を気にすることはないですが、パートで働く場合には様々な年収の壁が存在します。
大きく分けて3つあり、
妻が税金を払う壁
妻が健康保険料や年金保険料を払う壁
夫の税金に影響してくる壁
といった感じで妻が年収の壁を超えると妻自身の問題だけではなく夫の税金にも影響してきます。
よく「扶養の範囲内で働く」と言ったりしますが、扶養の範囲と言っても税金上の扶養と社会保険の扶養があり、年収によっては働き損になってしまうこともありえます。
単純に年収が増えたからといってデメリットも増えるというわけではないですが、壁を超えるとどのようなような影響があるのか把握しておくことは大切だと思います。
それでは、「年収の壁を超えるとどういった影響があるのか?」年収の少ない順に解説していきたいと思います。
年収100万円の壁
こちらは一番低い年収の壁で、住民税の壁とも言えます。
100万円を超えると住民税を払う可能性があります。
この年収100万円を超えなければ住民税はもちろん、所得税、健康保険、年金などの保険料を自分で払う必要はありませんし、且つ夫の税金も抑えることができる年収です。
簡単に住民税の仕組みをお伝えすると、住民税には所得割と均等割があり、
前年の合計所得金額が、次の算式で求めた額以下である方は両方とも課税されません。
(2)控除対象配偶者および扶養親族がいない場合・・・・35万円
一般的に主婦は扶養されている側だと思うので(2)以下であればよいわけですね。
合計所得金額というのが少しわかりにくいですが、収入が給与だけであれば収入から65万円を引いた金額です。(給与所得控除といって65万の数字は収入によって変わります)
年収100万円-65万円=35万円
なので、年収100万円が壁と言われるわけです。
基本的に35万円以下であれば住民税は非課税になりますが、住んでいる地域によって少し違いがあるので確認することをおすすめします。
たとえば、(2)が315,000円に設定されている地域もあります。
その場合、65万円+31万5千円=96万5千円となり、前年の年収が96万5千円を超えると住民税を払う必要があります。
年収103万円の壁
こちらは自分の所得税の壁です。
年収103万円を超えると住民税と所得税を払う可能性があります。
所得を計算する際に必ず控除を受けられるものとして
給与所得控除65万円
基礎控除38万円
があります。
収入からこの2つを引くことができるので、年収103万円-65万円-38万円=0
年収が103万円以内であれば所得が0になります。
所得税は所得×税率で計算されるので、所得が0であれば所得税が発生しないことになります。
また、以前は夫が配偶者控除を受けるために妻の年収が103万円以下である必要がありました。
しかし2018年から配偶者特別控除の制度が改正されたので、103万円を超えても夫に影響はありません。
配偶者控除で夫に影響がでるのは後で紹介する年収150万円です。
ただ、夫の会社から扶養手当(家族手当)などが支給されている場合は注意が必要です。
妻の年収が103万円を超えても妻の手取りが少なくなるということはありませんが、夫に支給されていた扶養手当(家族手当)などが停止して世帯の年収が下がってしまう可能性もあります。
夫に支給されている扶養手当(家族手当)の条件をしっかり確認しておきましょう。
年収106万円の壁
妻が夫の社会保険の扶養になっていれば健康保険料や年金保険料を払わなくても良いのですが、年収が106万円を超えると妻自身が社会保険に加入しなければならない可能性があります。
社会保険の加入は任意で決めれるわけではなく、下記2つのいずれかに該当する場合は強制加入となります。
2.一週間の労働時間が20時間以上
3.1年以上雇用される見込み
4.学生は適用外
5.従業員が501人以上の企業で雇用
この月額8万8千円を年収にすると106万円になります。
(月額8.8万円には残業代や通勤手当等は含めません)
なので、106万円の壁というより月額8万8千円の壁の方が正しいのかも知れませんね。
社会保険に加入すると半分は会社が払ってくれますが、健康保険や年金保険を自分で払わなくてはいけません。
住んでいる地域などで多少違いはありますが、最低でも月収から13,000円くらいの保険料が天引きされることになるので、106万円を少し超えるくらいの収入だと手取りは少なくなるかもしれません。
ただ、社会保険に加入するメリットもあって、傷病手当といった制度が使えたり将来の年金に厚生年金が上乗せされたりします。
また、2017年4月からは、従業員が500人以下の会社でも、両者が合意すれば社会保険に加入できるように変更されました。
年収130万円の壁
こちらも106万円の壁と同じで社会保険の壁です。
130万円を超えると夫の社会保険の扶養から外れてしまいます。
夫の社会保険の扶養になるためには
かつ、同居の場合、夫の年間収入の2分の1未満
でなければなりません。
これから外れると健康保険料や国民年金保険料を自分で払う必要がでてきます。
130万円を超えても社会保険に加入することができれば、会社が保険料の半分を負担してくれたり将来の年金が増えたりとメリットがありますが、自分で国民健康保険や国民年金に加入するとなると負担額が増えただけになってしまいます。
年収130万円を超えるなら、社会保険に加入できるくらい働く。もしくは保険料を払っても手取りが多くなるくらいまでは働きたいですね。
年収150万円の壁
ここまでは妻自身の税金や保険料の問題でしたが、150万円の壁を超えると夫の税金に影響がでてきます。
以前はこの150万円の壁というのは無くて、2018年から新たに出てきた壁です。
配偶者控除と配偶者特別控除の改正ですね。
配偶者控除は妻の年収が103万円までは夫の所得から38万円を引くことができます。
配偶者特別控除とは、妻の年収が103万円を超えた場合に夫の所得から一定の金額を引くことができる制度です。
この一定の金額は妻の年収が増えるごとに夫の所得から引ける金額が少なくなっていきます。
つまり夫の所得から一番金額の多い38万円を引くには、妻の年収が103万円以下でなければならなかったんです。
ところが改正により妻の年収が150万円までであれば夫の所得から38万円を引くことができるようになりました。
配偶者特別控除の枠が広がったイメージですね。
なので妻の年収が150万円までであれば、夫は一番多い金額の控除を使うことができます。
ただし、配偶者控除は夫の収入にも影響して、夫の所得が900万円を超えると段階的に少なくなり、1000万円を超えると適用できなくなります。
年収201万円の壁
こちらも配偶者特別控除の改正で新たに出てきた壁で、以前は141万円の壁と言われていました。
先ほどの150万円の壁を超えると段階的に夫が引ける金額が少なくなることをお伝えしましたが、この末端部分が201万円になります。
妻の年収が201万円を超えると夫は配偶者特別控除を全く使うことができなくなります。
控除を受ける納税者本人の合計所得金額 900万円以下 900万円超
950万円以下950万円超
1,000万円以下配
偶
者
の
合
計
所
得
金
額38万円超 85万円以下 38万円 26万円 13万円 85万円超 90万円以下 36万円 24万円 12万円 90万円超 95万円以下 31万円 21万円 11万円 95万円超 100万円以下 26万円 18万円 9万円 100万円超 105万円以下 21万円 14万円 7万円 105万円超 110万円以下 16万円 11万円 6万円 110万円超 115万円以下 11万円 8万円 4万円 115万円超 120万円以下 6万円 4万円 2万円 120万円超 123万円以下 3万円 2万円 1万円 出典:国税庁HP
「配偶者の合計所得金額」のところが妻の収入ですね。
この表では合計所得金額で記載されていますが、一番下の「123万円以下」を給与の収入で表すと201万円以下になります。
まとめ
100万円の壁と103万円の壁を超えても妻の手取りが少なくなることは無いのでそれほど気にする必要は無いと思います。
特に注意が必要なのは106万円の壁と130万円の壁ですね。
夫の社会保険の扶養から外れると妻は自分で保険料を払わなくてはいけないので手取りが少なくなる場合があります。
もし妻が夫の社会保険の扶養を外れて働くのであれば、年収150万円までは夫の税金には影響ありませんので、150万円の壁にも注意が必要ですね。
家庭の事情や会社の事情もあって、これといって正解は無いですがこういった年収の壁があることは頭に入れておきたいですね。