そこで今回は世界の変わった面白い税金「食品編」を紹介したいと思います。
ポテトチップス税
2011年9月からハンガリーで導入された税金です。
正しくは国民健康製品税と言われていて俗称ポテトチップス税です。
なのでポテトチップスだけにかかる税金ではなく、糖分や塩分の高いお菓子、ケーキ、さらにはジュースにまでもかかってきます。
要は肥満に繋がるような食品にかかる税金ですね。
というのは、ハンガリーでは肥満と言われる人が多く、問題になっていたんです。
男性は26%、女性は20%と、4人に1人くらいが肥満と言われています。
当然、肥満から病気になる人が増えれば医療費も大きくなるし、病気で死亡する人が多くなれば人口減少により税収も減ってしまいます。
さらに、栄養不足で死亡する人よりも栄養過多で死亡する人のほうが多いみたいです。
このような問題を対策するために導入された税金ですね。
ちなみに日本の肥満率は約4.5%です。
こうみるとかなり高い肥満率ですよね。
しかし上には上があり、1番肥満率が高い国は71%らしいです。
なんか普通に生活するのも息苦しい感じがしますが・・
それが当たり前ならそうでもないんですかね?
そして気になる税収は年間80億円が見込まれていたそうです。
かけられていた税率は均一ではなく、1キロあたりで計算され、
ポテトチップスは約80円
ケーキやアイスクリームは約40円
ジュースは1リットルあたり約2円
ほど高くなり、商品により5%~20%の税金が課されています。
ポテトチップスだけ異常に高いですね。
日本でもそうですが、給料から自動的に引かれている所得税などは仕組みが複雑なこともあり、あまり意識していない人が多いように感じます。
対して消費税など直接自分の財布に影響する税金はすごく意識しますよね。
ということもあり、個人的にはポテトチップスを買う人は少なくなったんじゃないかなぁと思いました。
ところがハンガリーではもともと税金が高い国だからなのか国民からの反応はあまりなかったみたいです。
さらには、どうしても食べたければ隣の国へ買いに行く人もでてきてしまい、あまり効果がないこともあり廃止されたそうです。
脂肪税(バター税)
2011年10月からデンマークで導入された税金です。
バターや牛乳、チーズなど、2.3%以上の飽和脂肪酸を含む加工食品に課税されます。
こちらも国民の健康に悪影響を及ぼす食品の過剰摂取を対策するため導入されました。
課税率は飽和脂肪酸1キロあたり約220円です。
しかし、導入されていた期間は短く、2012年12月までとなっています。
約1年くらいではどれくらい健康に影響があったのか?税収面ではどのくらい効果があったのかわかりませんよね。
なぜそんなにも早く廃止になったのか?
理由がこちらです。
・食品会社の雇用が減少
・食品価格の高騰
・隣の国ドイツで購入する人が増加
国民にとっても政府にとってもデメリットのほうが大きかったわけですね。
ポテトチップスとは違い、日常的に消費する食品の課税はつらいですよね。
なので隣の国で購入する人がでてきます。
そうなると税収効果がないうえに、自国の売り上げが減少。
従業員が余って雇用問題に発展するかも。
というわけで早々に撤廃されたといわれています。
砂糖税(ソーダ税)
こちらは炭酸飲料やスポーツドリンク、果汁飲料の一定以上の糖類が含まれた飲料に課税されます。
導入されている国は多く、フランス、メキシコ、ポルトガル、カリフォルニア州、ペンシルベニア州など世界22ヵ国で導入されているようです。
最近では2018年にイギリスで導入されています。
やはり生活習慣病や肥満の問題は世界的にも深刻なようですね。
実は日本でも1901年には砂糖は贅沢品とされていたこともあり、砂糖消費税がありました。
しかし1989年に消費税が導入されたことにより廃止となっています。
日本の肥満ランキングはかなり下の方なので、肥満を理由に再度砂糖税を導入することはないんじゃないかなって思っています。
ベーグル税
ニューヨークで導入されている税金で、ベーグル一切れに約8セント課せられます。
ニューヨークにはベーグルを売るお店がたくさんあります。
「ならばそこから徴収しよう」といった何とも強引な税金です。
ニューヨークではベーグラーという言葉があるくらいベーグルファンがたくさんいます。
なので、もちろんこれには避難を浴びているようです。
そして課税のシステムがとても変わってるんです。
お店で手を加えていないベーグルを買うのであれば課税されません。
しかし、お店で切ってもらったり、チーズやバターをぬってもらったりすると課税対象となります。
また、手を加えていないベーグルでも店内で食べると課税されてしまいます。
ドーナツ税
カナダで導入されていて、ドーナツを5個以下購入した場合に課せられる税金です。
ドーナツ税といわれることがありますが、要は消費税です。
カナダでは外食には10%の消費税がかかり、テイクアウトだと消費税はかかりません。
ただし、ドーナツの場合ではイートインかテイクアウトかで線引きされるわけではなく、個数で判断されます。
5個までだとドーナツ税が課せられ、6個以上だと無税ってことですね。
5個だとその場で食べられるけど、6個だとその場では食べられないでしょ。
ってことなんですかね?
カナダではドーナツチェーンがたくさんあり、ドーナツの消費量は多くなっています。
ここに目を付けたわけですね。
ベーグル税もドーナツ税も持ち帰れば軽減税率が適用され、その場で食べていけば外食とみなされ税金がかかります。
日本でも消費税が10%になりますが、基本的には食品は8%のままです。
ただし、外食やファーストフードなどで購入したものを店内で食べると10%になります。
なんだか似てますね。
月餅(げっぺい)税
2011年に中国で導入された税金です。
中国には月餅というお菓子があり、日頃お世話になっている人などに月餅を贈る習慣や、家族や友達と月を見ながら月餅を食べる習慣があります。
さらに会社から月餅を渡されることもあるみたいです。
日本でいうところのお歳暮やボーナスみたいな感じですかね。
ここまではいいのですが、もらった月餅がなんと給与所得になってしまうんです。
給与所得が増えれば支払う税金も増えるわけで、月餅が好きな人ならともかく、使い勝手の悪いお菓子が所得になってしまっては迷惑な話ですよね。
中国の所得税の最高税率は45%で、その中に月餅分がたくさんあったら悲惨ですよね。
お金としては増えてないのに所得税は半分近く納めなくてはならないわけで・・
これには中国の人たちも「月餅は食べたくない!」と反対しているようです。
まとめ
今回は世界の変わった面白い税金ということで
脂肪税(バター税)
砂糖税(ソーダ税)
ベーグル税
ドーナツ税
月餅税
を紹介してみました。
食べ物にかかる税金は生活習慣病や肥満、健康のために導入されていることが多いですね。
なかには理不尽な税金もありますが・・
慣れてくると何とも思わなくなってしまいがちですが、日本でも不思議な制度がたくさんあるので探してみるのも面白いと思います。