加給年金とは?わかりやすく解説!妻の厚生年金20年以上ってなに?

今回は「加給年金」についてですが、この制度も年金あるあるで、とてもわかりにくいんです。

特にこの年金は厚生年金の基本がわかっていないと理解しにくいところがあります。

その1つとして出てくるのが妻の厚生年金20年以上ってやつです。

夫婦ともに会社員だともらえないとか、20年を超えないように19年で退職しようと考えてるとか、様々な誤解があります。



そこで今回は加給年金とはどのような年金なのか?と共に妻の厚生年金20年以上の意味をわかりやすく解説したいと思います。

補足
今回はわかりやすくするため

・夫が会社員(厚生年金被保険者)
・妻が専業主婦やパート(3号被保険者)

で書いていきます。

条件を満たしていれば、
「妻が会社員」
「夫が専業主夫」
といった、逆のパターンでも加給年金は支給されます。

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加給年金とは?もらえる条件と金額

加給年金とは、会社員として長年働いてきた夫が老齢厚生年金を受け取るときに、年下の妻や子供がいる場合に夫の老齢厚生年金に加算される年金です。


夫がバリバリ働いていたときは収入に問題がなくても、定年をして年金生活になると収入が少なくなることがあると思います。

そのときにまだ年金のもらうことができない妻がいたり、学生である子供がいたりすると生活が厳しくなってしまいます。

そのような場合の家族手当みたいな感じで夫に支給される年金ですね。



それぞれに条件があるので詳しく見ていきたいと思います。

もらえる条件

夫の条件
厚生年金の被保険者期間(共済年金の期間も含む)が20年以上あること
(中高齢の特例に該当する方は15年から19年)

・生計を維持している配偶者または子がいる

中高齢の特例とは、下の表の生年月日に当てはまる、
「男性で40歳以降」
「女性で35歳以降」
に加入期間が15年から19年でも20年加入したものとしていいよって制度です。

昭和22年4月1日以前に生まれ 15年
昭和22年4月1日生まれ~昭和23年4月1日生まれまで 16年
昭和23年4月1日生まれ~昭和24年4月1日生まれまで 17年
昭和24年4月1日生まれ~昭和25年4月1日生まれまで 18年
昭和25年4月1日生まれ~昭和26年4月1日生まれまで 19年

生計を維持している配偶者または子の条件が次です。

妻の条件
・65歳未満

・年収が850万円未満

・老齢厚生年金、障害年金をもらっていない
子の条件
・18歳到達年度末日までの子
(もしくは20歳未満で障害等級1級・2級の未婚の子)

子の条件は少しきびしいですね。

夫が65歳のときに子どもが18歳未満でなければいけないので、48歳以降の子どもでなければ該当しません。

もらえる金額

もらえる金額
・妻がいる場合は22万4500円

・1人目、2人目の子がいる場合は各22万4500円

・3人目以降の子は7万4800円

基本的には上の金額が加算されますが、夫の生年月日が下の表に当てはまる場合、夫の加給年金に特別加算があります。

配偶者加給年金額の特別加算
受給権者の生年月日 特別加算 加給年金額の合計額
昭和9年4月2日~昭和15年4月1日 33,100円 257,400円
昭和15年4月2日~昭和16年4月1日 66,200円 290,500円
昭和16年4月2日~昭和17年4月1日 99,300円 323,600円
昭和17年4月2日~昭和18年4月1日 132,300円 356,600円
昭和18年4月2日以後 165,500円 389,800円

出典:日本年金機構HP

平成31年現在では、昭和18年生まれの方は76歳です。

なのでこれから加給年金を請求する人は一番多い特別加算になりますね。


老齢厚生年金は年齢が若いほど支給される年齢が遅かったり、金額が少なくなる傾向にあります。
なので上の世代と大きな差が生まれないように若い世代の加算額は多くなっています。

加給年金はいつからもらえる?

夫の老齢厚生年金に加えられて支給される年金なので、夫が65歳になって老齢厚生年金をもらい始めたときから支給されます。

これが基本なのですが、特殊な例もありますので紹介します。

ここから先の特例は65歳前に老齢厚生年金を受け取れる人用です。

65歳前にもらうことができる人の生年月日は

・男性で昭和36年4月1日生まれ
・女性で昭和41年4月1日生まれ

までなので上記以降生まれの人は関係ありません。

特別支給の老齢厚生年金の定額部分をもらい始めたときからもらえる

老齢厚生年金には特別支給といって65歳以前から支給される制度があります。

この特別支給の老齢厚生年金には報酬比例部分と定額部分があり、生年月日により、まずは定額部分が引き上げられ次に報酬比例部分が引き上げられます。

この定額部分が支給される場合、加給年金も支給されます。

特別支給の定額部分をもらえる人は限られていて男女で違いがあり
・男性で昭和24年4月1日以前に生まれた人
・女性で昭和29年4月1日以前に生まれた人
になります。

特別支給の老齢厚生年金について詳しく説明した記事もありますのでよかったら確認してみてください。

特別支給の老齢厚生年金とは?時効は何年?繰り上げや繰り下げはできる?

2019年3月19日

さらにもう1つ定額部分がもらえる特例があります。

長期加入者の特例といって、報酬比例部分をもらえる人が厚生年金の加入期間が44年以上あり、その後厚生年金の被保険者資格を喪失していると定額部分をもらうことができます。


例えば、16歳から厚生年金に加入し続けて、60歳で報酬比例部分をもらうことができる人がいた場合、長期加入者の特例の定額部分を60歳からもらうこともできます。


この場合60歳から定額部分ももらうことができ、対象となる妻などがいれば加給年金ももらえることになります。



けど報酬比例部分をもらうことのできる生年月日にあてはまり、且つ厚生年金に44年ですからね。

該当する人はかなり限られています。




要は65歳未満でも定額部分を受け取ることができるのであれば加給年金も受け取れるわけですが、65歳以前に定額部分をもらえる人というのはかなり年配の人で既に年金を受け取っている方が多いと思います。

なのでこれから加給年金を請求する人は「夫が65歳になってからの支給」ということになります。

加給年金は妻の厚生年金の加入期間20年以上でももらえる

「厚生年金の加入期間が20年以上ある妻がいる場合はもらえない」

「もうすぐ加入期間が20年になっちゃうから厚生年金から抜けないと」

などとよく聞くことがあります。



日本年金機構HPでは

 【ご注意】

配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上または共済組合等の加入期間を除いた期間が40歳(女性の場合は35歳)以降15年以上の場合に限る)、退職共済年金(組合員期間20年以上)または障害年金を受けられる間は、配偶者加給年金額は支給停止されます。

出典:日本年金機構HP

と、あるんですがわかりにくいんですよね。



わかりやすく言うと
「配偶者が、被保険者期間が20年以上の老齢厚生年金をもらっている場合は支給されない」
ってことです。

これは妻が厚生年金に20年以上加入したらもらえないってことではありません。


今一度妻の条件をおさらいすると、年齢が65歳未満というのがあります。
これは妻が65歳になれば自分の年金をもらうことができるから夫に加給年金を加算する必要はないでしょってことです。



しかし妻の生年月日により特別支給の厚生年金を65歳以前にもらえる場合があります。

厚生年金では「加入していたときの給与」「加入期間」で支給される金額が変わってきます。

20年以上加入していた場合そこそこの金額を受け取ることができるはずです。

その20年以上加入した年金を妻が65歳前に受け取れるなら加給年金は必要ないんじゃない?ってことだと思います。


なので、この厚生年金の加入期間20年以上というのは、特別支給の厚生年金をもらうことができない人には関係ありません。



少しわかりにくいので、妻の状況別にいくつか例をあげてみたいと思います。

加算されるケース例

例1
・夫65歳で条件を満たしている

・妻60歳で厚生年金加入期間が20年以上あり、63歳から特別支給の厚生年金を受け取ることができる

この場合、妻が60歳から63歳になるまで(妻が特別支給の老齢厚生年金を受け取るまで)夫に加給年金が加算されます。


但し例外もあって、妻が年金を繰り上げた場合は変わってきます。

繰り上げや繰り下げをした場合についての記事もありますので確認してみてください。

年金の繰り上げ繰り下げをすると加給年金はどうなる?妻の年金の場合は?

2019年3月22日



例2
・夫65歳で条件を満たしている

・妻60歳で昭和41年4月2日以降生まれ

昭和41年4月2日以降生まれの方は特別支給の厚生年金はもらえないので妻の厚生年金の加入期間が20年以上でも20年未満でも関係なく、妻が65歳になるまで夫に加給年金が加算されます 。


例3
・夫65歳で条件を満たしている

・妻60歳で厚生年金の加入期間が20年未満で63歳から特別支給の老齢厚生年金を受け取る

この場合、妻は63歳から特別支給の老齢厚生年金を受け取るのですが、妻の厚生年金の加入期間が20年未満なので63歳から特別支給の老齢厚生年金をもらっていても妻が65歳になるまで夫に加給年金が加算されます。



特別支給の老齢厚生年金は、基礎年金の受給資格を満たしていて、厚生年金の加入期間が1年以上あればもらうことができます。


もしこのケースで厚生年金の加入期間が1年だった場合はどうでしょうか?
妻は特別支給の老齢厚生年金をもらえますが、金額は少なくなると思います。
そういった場合収入が少なくなってしまうので、家族手当として加給年金が支給されます。

まとめ

加給年金とは、厚生年金の加入期間が20年以上ある夫が老齢厚生年金をもらい始めたときに、65歳未満の妻や18歳未満の子がいる場合に夫の厚生年金に加算される年金です。


共働きで夫婦共に厚生年金の加入期間20年以上だったとしても加給年金は支給されます。

支給停止されるのは、配偶者が20年以上加入した期間の厚生年金を65歳未満に受け取ったときです。



加給年金に限った話ではないですが、年金は自分で申請しないと支給されません。
必要な書類や送付された書類を自ら提出しなければならないのです。


せっかく自分が利用できる制度があるのに知らずに請求しなかったという事態は避けたいですよね。



加給年金では、まずは「夫が厚生年金を受け取る」ことが条件です。

なのでもし不安であれば、夫が年金を請求するときに「加給年金の条件に当てはまるのか?」年金事務所に確認するのも良いかと思います。



妻が65歳になり、夫の加給年金の支給が終わると妻に振替加算が支給される場合があります。
こちらは妻の厚生年金加入期間が20年以上だと支給されません。
よかったら確認してみてください。

妻の年金に加算される振替加算とは?わかりやすく解説します!

2019年4月25日

 

 

 

最後までありがとうございました。

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