今回は【振替加算】についてですが、なかなか聞かない単語ですよね。
以前に支給漏れで話題になったこともありましたが、どういった時に支給されるのかいまいちわからない方もいると思います。
そこで今回は、
妻の年金に加算される振替加算とは?
わかりやすく解説したいと思います。
今回は、
夫が加給年金をもらっていて、妻が年下を前提で書いてます。
条件を満たしていれば、妻が加給年金をもらっていて、夫が年下のケースでも同じです。
振替加算は基本的に加給年金が前提となっているので、加給年金を理解しているとわかりやすいと思います。
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妻の年金に加算される振替加算とは?誰がいつからいつまでもらえる?
振替加算とは、一定の条件を満たした場合に妻の老齢基礎年金に加算される給付です。
「振替」というくらいなので前提に振替されるものがあるってことですよね。
その対象となっているのが加給年金です。
加給年金は条件を満たしていた場合に夫の厚生年金に上乗せされる年金です。
対して振替加算は、加給年金が支給されなくなったときに、妻の老齢基礎年金に加算される給付です。
ちょっとややこしいですが、ある時期になると加給年金が名前を変えて振替加算になるイメージです。
この2つは夫婦であることが条件で支給される給付ということですね。(例外はあります)
それではもう少し詳しく条件を見ていきたいと思います。
誰がもらえる?
さきほどもお伝えしましたが、振替加算は加給年金の支給を受けていた夫の「妻」がもらうことができます。
しかし加給年金をもらっていた夫の妻なら誰でももらえるわけではなくて、妻に条件があります。
・厚生年金や共済年金などを受けている場合は、これらの加入期間の合計が240月(20年)未満であること
・老齢基礎年金の受給権が発生する前に結婚している
・年収が850万円未満である(生計維持関係である)
昔の年金制度では加入が任意で、会社員の妻などは満額をもらえない場合があります。
その任意だった期間を埋めるための振替加算です。
そのため20歳になったときに年金への加入が強制である生年月日の人には振替加算は支給されないことになります。
それともう1点。
妻の厚生年金などの加入期間が20年以上だと加算されません。
よく、「厚生年金の加入は19年までに」と言われるのはこのためですね。
しかし、そもそも振替加算が支給されない生年月日であれば関係無いし、振替加算の金額より、厚生年金に長く加入したほうがお得なケースもあります。
少し手間がかかりますが、厚生年金の金額と振替加算の金額を比較して調整するのも良いと思います。
いつからいつまでもらえる?
基本的には妻が65歳になった月の翌月から加算され、生涯加算されます。
夫の加給年金の支給が停止されたときに、妻が条件を満たしていれば加算されるわけですが、例外もあります。
たとえば、妻が年上の場合ですね。
この時に夫は64歳でまだ厚生年金をもらっていない。
この時点では妻は振替加算をもらうことはできません。
夫に厚生年金が支給されていないからですね。
この場合は夫が65歳になり、厚生年金をもらい始めたときに加算されます。
妻が67歳のときですね。
ただし、この場合でも夫の厚生年金の加入期間は20年以上必要です。
加給年金が支給される条件ですね。
こういったケースでは加給年金ももらえないし、振替加算も遅れての支給になってしまいます。
また、一度加算されれば、離婚をしても生涯加算され続けます。
振替加算の金額
年齢が若くなるほど加算される金額は少なくなり、生年月日が昭和41年4月2日以降の妻には加算されません。
生年月日 | 年額 | 月額 |
昭和29年4月2日~昭和30年4月1日 | 56,799 | 4,733 |
昭和30年4月2日~昭和31年4月1日 | 50,962 | 4,246 |
昭和31年4月2日~昭和32年4月1日 | 44,900 | 3,741 |
昭和32年4月2日~昭和33年4月1日 | 38,839 | 3,236 |
昭和33年4月2日~昭和34年4月1日 | 33,002 | 2,750 |
昭和34年4月2日~昭和35年4月1日 | 26,940 | 2,245 |
昭和35年4月2日~昭和36年4月1日 | 20,879 | 1,739 |
昭和36年4月2日~昭和37年4月1日 | 15,042 | 1,253 |
昭和37年4月2日~昭和38年4月1日 | 15,042 | 1,253 |
昭和38年4月2日~昭和39年4月1日 | 15,042 | 1,253 |
昭和39年4月2日~昭和40年4月1日 | 15,042 | 1,253 |
昭和40年4月2日~昭和41年4月1日 | 15,042 | 1,253 |
昭和41年4月2日以降 | 無し | 無し |
※平成31年度
昭和29年4月1日以前生まれの方はこちらをご確認ください。
日本年金機構HP
繰り上げや繰り下げをした場合はどうなる?
老齢年金は60歳から70歳までの間で早くもらったり遅らせてもらったりできます。
たとえば、妻が老齢基礎年金を繰り上げて63歳からもらうとします。
この場合でも振替加算は妻が65歳になってからの支給となります。
老齢基礎年金は減額されて前倒しで支給されますが、振替加算の金額や支給の開始は変わりません。
逆に妻が老齢基礎年金を繰り下げて67歳からもらう場合。
繰り下げですね。
この場合は老齢基礎年金も振替加算も67歳からになります。
繰り下げをすると老齢基礎年金は増額されて支給されますが、振替加算の金額は変わりません。
2年分の振替加算をもらえなくなるわけですね。
妻が年上の場合は手続きが必要
夫のほうが年上で既に加給年金をもらっている場合は年金請求書に「妻の基礎年金番号」「年金コード」「名前、生年月日」などの記入をすることで自動的に振替加算に切り替わります。
しかし妻の方が年上の場合は別に手続きが必要です。
妻は65歳になり老齢基礎年金をもらっているけど、夫はまだ65歳になっていないケースですね。
この場合は夫が65歳になったときに、
「老齢基礎年金額加算開始事由該当届」を年金事務所へ提出しなければなりません。
大きく年の差が離れている場合は忘れがちなので気を付けましょう。
夫婦の場合では、お互いに年齢や年金支給時期などに気を配っておく必要がありそうですね。
振替加算と遺族年金の併給は?
遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。
65歳以前では条件により遺族基礎年金をもらうことができます。
しかし65歳になり老齢基礎年金をもらうことができるようになったらどちらか選ばなければなりません。
ということは、振替加算と遺族基礎年金の併給はあり得ないってことになりますね。
それに、遺族基礎年金をもらうには18歳未満の子がいることが条件です。
「65歳のときに18歳未満の子」なので、かなりレアなケースだと思います。
もしこういったケースでも遺族基礎年金を選んだ方が金額は多いと思います。
遺族厚生年金は生涯もらえる場合があるので、振替加算と併給の可能性があります。
妻が65歳になったときに、
妻の老齢基礎年金+遺族厚生年金(場合によっては調整あり)
を受け取ることができます。
妻の老齢基礎年金は調整されることは無いので、振替加算も支給されます。
まとめ
・妻が年上で加給年金が支給されていなくても、夫の厚生年金の加入期間が20年以上であれば妻が65歳になったときに加算
・妻の厚生年金などの加入期間が20年未満であること
・生年月日で加算される金額に違いがあり、対象者が限定されている給付
・繰り上げや繰り下げをしても振替加算の金額は変わらない
・妻が年上の場合は手続きが必要
年金制度はこれまで何度も改正され、後付けのシステムが満載です。
よって、どんどん複雑になりわかりにくくなっている気がします。
今回の振替加算では年上の妻がいる場合には注意が必要ですね。
もらえるはずの年金も請求しなければ支給されないことも多々あるので、自分がもらえる年金の種類を把握しておくことが大切です。
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