年金211万円の壁の意味とよくある質問!繰り上げで調整するのは正解?

若い頃は仕事に子育て、他にも様々なイベントもあり毎日一生懸命!
故に老後のことなんてまだまだ先のことだし、あまり実感が湧かない人もいるかもしれません。

しかしいざ年金が支給される年齢が近づいてくると
いくらもらえるのか?
いつからもらえばいいのか?
損をしないためにはどうすればいいのか?
などなど色々気になりますよね。

ただ、気にはなるけどちんぷんかんぷん。
それもそのはず。
学校で教えることもなく、社会に出ても勉強する機会なんてなかなかありません。

 

会社の先輩や友達、親などから

私は◯歳からもらってるよ!
◯円くらいもらってるよ!

なんて聞くくらいではないでしょうか?

 

今回、そんな方から
「年金が211万円を超えると損しちゃうんでしょ?」
なんてことを聞かれました。

どこで仕入れてきたのか分かりませんが、
「211万円を超えると損!」
という情報だけを受け取ってきたみたいなんです。

場合によっては損してしまうこともあるかもしれませんが、211万円というのはあくまで目安で、必ずしも211万円の壁を超えたら損をしてしまう。というわけではないのです。

 

そんな誤解を解く意味も込めて今回は、

・年金211万円の壁の意味とは?
・211万円の壁は条件によって変わる
・繰り上げで調整できる?
・年金211万円についてよくある質問

以上についてお伝えしたいと思います。

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年金211万円の壁とは?

これは住民税が非課税となる年金の収入額です。

つまり、1年間で受け取る年金が211万円以下であれば住民税が非課税になります。

非課税になれば、住民税の支払いが無いのはもちろん、健康保険料や介護保険料といったいわゆる社会保険料の金額も少なくなります。

さらに医療機関に支払う負担額の上限も引き下げられます。
高額療養費制度ってやつですね。

 

などなど、年金211万円の壁を超えなければ、手取りが増えるうえに様々なメリットが受けられるわけです。

なので、損をしてしまうと言うより、
「収入が少なめだからそれに応じた援助が受けられる」という感じです。

 

では、

年金211万円の壁を超えてしまったらこのメリットは受けられないの?
211万円以下なら絶対メリットは受けられるの?

といったことを聞かれることがよくあるのですが、一概にそうとは言い切れません。

実は年金211万円というのはおまけの情報みたいなもので、重要なのは所得と住民税が非課税になる計算式です。

年金211万円で住民税が非課税になる理由

なぜ年金211万円で住民税が非課税になるのかお伝えしますね。

 

まず、この211万円という数字は1年間の年金の収入額でしたよね。

しかし、税金を計算するときには収入を所得に直す必要があります。
年金は雑所得に分類され、計算方法は、
「年金収入-公的年金等控除額=雑所得」

公的年金等控除額は年金収入によって違いがありますが65歳以上だと最低でも110万円引くことができます。

仮に年金収入が211万円だった場合、
「211万円-110万円=101万円」
これが雑所得となります。

この101万円という金額を覚えておいて下さいね。

 

 

続いて住民税についてです。

住民税が非課税になる所得の基準というのは自治体により異なりますが、東京23区だと、

・控除対象配偶者または扶養親族がいる
 35万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計人数)+21万円+10万円以下

・控除対象配偶者および扶養親族がいない
 35万円+10万円以下

となります。

年金211万円の壁で使われるのは上の計算式で、
「控除対象配偶者がいる」
ことが前提で計算されています。
一般的には本人というのは夫で、控除対象配偶者というのは妻ですかね。

これを計算すると、
「35万円×(1+1)+21万円+10万円=101万円」

このケースだと所得が101万円までなら住民税が非課税になります。
年金の収入で考えると211万円までなら非課税範囲に収まるということです。

これが年金211万円の壁といわれる理由ですね。

 

でも、この年金211万円の壁ってすごく情報を絞って考えられているんです。

そこで、年金211万円の壁は条件によって異なるよ。っていう例をいくつか紹介したいと思います。

年金211万円の壁は一般的な例

この年金211万円の壁というのは

・65歳以上の年金受給者
・年金以外の収入が少ない
・夫婦である
・妻の年金が少ない
・扶養親族がいない

といった条件を満たしたうえでの壁です。

一般的にはこういった家庭が多いからこの条件で計算したのかもしれませんが、必ずしも211万円というわけではないのです。

65歳以上と65歳未満で壁が異なる

税金を計算するには収入を所得にしなければならないことをお伝えしましたよね。

年金の場合は公的年金等控除額を引くことができますが、この控除額は65歳未満と65歳以上で金額が異なるんです。
65歳以上では最低110万円に対し、65歳未満では最低60万円になります。

仮に65歳未満で年金収入211万円あるとすると控除額は802,500円になります。
これを計算してみると
「2,110,000円-802,500円=1,307,500円」
となり、所得101万円を超えているので住民税は非課税になりません。

ちなみに65歳未満だと年金収入が170万円くらいで所得101万円以下になりますね。

 

 

年金は基本的には65歳からの支給となりますので、それほど気にするポイントではないかもしれません。

しかし、繰り上げて60代前半でもらうこともできますし、生年月日によっては特別支給の老齢厚生年金を65歳以前にもらうこともあります。
これにより公的年金等控除額が変わり、211万円の壁ではなくなる可能性もあるということです。

所得が年金以外にもある

211万円の壁は年金の収入だけを考えて言われている壁です。

なかには年金をもらいながら給与をもらっていたり、事業をやっていたりする人もいるかもしれません。
これらの収入がある程度あると給与所得や事業所得が発生する可能性があります。

それらの所得は税金を計算するときには合算しなければなりません。

年金が211万円でも他の所得があることで住民税の非課税範囲を越えてしまうことがあるわけです。

妻の年金が一定額以上や他の所得がある

こちらは住民税が非課税になるこの計算式、

35万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計人数)+21万円+10万円以下

に影響があります。

211万円の壁では「控除対象配偶者」がいることを前提に考えられているわけですが、控除対象配偶者となる条件の1つに「合計所得金額が48万円以下」というのがあります。

・現役時代は夫婦共働きで妻も年金が多い
・妻が働いていて給与所得がある
などで、所得が48万円を超えると控除対象配偶者ではなくなるということですね。

そうなると計算式が変わってくるので、夫の年金が211万円でも住民税が非課税になる所得基準をオーバーしてしまうことになります。

扶養親族がいる

こちらも住民税の非課税範囲についてです。

年金をもらっている人が子供や孫などを扶養している場合では非課税範囲は広くなります。

たとえば、控除対象配偶者がいて、さらに孫を1人扶養しているとしたら、
35万円×(1+1+1)+21万円+10万円=136万円
となります。

年金が211万円を超えたとしても住民税が非課税になることもあるってことですね。

独身の場合

独身の場合、住民税が非課税となる所得基準はぐっと減ります。

所得45万円以下ですからね。
所得45万円を年金収入にすると、65歳以上では155万円以下です。

会社員として長年働いてきた人は超える場合が多いのではないかと思います。

 

 

と、いったように年金の壁は人によって異なります。

ここまで長々と書いてきてしまいましたが、要は、年金211万円の壁。で考えるというよりは、自分の所得の合計と住民税が非課税になる所得の基準が重要ってことですね。

 

 

また、年金以外でも年収◯◯万円の壁。ってよく聞きますよね。
それって主にパートやアルバイトで働いている人を対象にしています。
時給や日給で働いていれば多少の調整は出来るかもしれませんからね。

けど、年金って今までで支払ってきた保険料とか期間によって受給額が決まってくるんだよね。
今更壁があるって言われても・・・

って思いませんか?

そこで、年金の繰り上げ制度を使うことによって調整できる可能性もあります。

年金211万円の壁は繰り上げで調整できる?

年金は基本的には65歳からの受給になりますが、前後5年で受け取り始める時期を選ぶことができます。

繰り上げや繰り下げをする月数で変わりますが、
・繰り上げ(早くもらう)で最大30%の減額
・繰り下げ(遅くもらう)で最大42%の増額
となります。

 

たとえば、
65歳から受給開始すると300万円もらえる人がいるとします。
これだと211万円の壁を超えてしまってますよね。

そこで、繰り上げて60歳からもらうとすると30%減額なので、210万円になります。

これにより住民税が非課税になり、非課税になったことによる恩恵も受けられる。

結果、
【減額された金額<住民税、保険料減免などのメリット】
となり、手取りが増えるというわけです。

もちろん寿命などでも異なるので必ずしもってわけではないですけどね。

 

だから、

繰り上げ制度を使って211万円を超えないように調整して住民税を非課税にしよう!

なんて言われたりします。

 

でも注意しなくちゃいけないのは、非課税になるのは65歳から。

さきほどの例だと、繰り上げて210万円になりましたよね。
210万円から公的年金等控除額110万円を引けば所得は100万円となり住民税は非課税になるかもしれません。

しかし繰り上げて60代前半にもらっていれば公的年金等控除額は少なくなります。
60代前半に210万円の年金を受け取っていたら雑所得の金額は120万円になります。
これでは非課税になりませんよね。

65歳からは非課税になるかもしれないけど、60代前半は非課税になるとは限らないわけです。

 

もちろん65歳からの非課税である期間の方が長いと思うのでトータルで見ればお得かもしれませんが、こんなはずではなかった!と後悔してもらいたくはないんです。

その他、繰り上げたことにより遺族年金が併給できなかったり障害年金をもらえなくなったり。
さらに、繰り上げしながらお給料をもらっていれば課税される所得も増えてしまうかもしれないし、在職老齢年金という制度で年金がカットされてしまう恐れもあります。

 

これといって正解はなく、人によって様々だとは思いますが、やはり色々な角度から見る必要があると思います。
年金がいくらもらえるのかはもちろん、
何歳まで働くのか?
お給料はいくらなのか?
扶養親族はいるのか?
減額された年金と非課税になったメリットの比較。

言い出せばきりがないですが、211万円の壁があるからといって、安易に繰り上げを選択するのはやめたほうが良いと思います。
減額された年金は一生続きますし・・

 

年金を繰り上げする際に気を付けなければいけない事、デメリットなどもまとめてみました。

年金の繰り上げで後悔しないために!10のデメリットを確認!

2019年3月24日

年金211万円の壁のよくある質問

それでは最後に年金211万円の壁についてよくある質問に簡単に答えていこうと思います。

年金211万円の壁は夫婦の年金額の合計?

夫婦の年金合計額ではありません。

妻(もしくは夫)が控除対象配偶者であった場合の夫(もしくは妻)のみの年金収入額です。

個人年金は211万円に含まれる?

含まれます。

受け取り方や契約内容などで違いはありますが、
保険料を支払っていたのが自分。
年金として自分が受け取っている。
といった場合は含まれます。

正確には211万円に含まれるというより、雑所得に含まれるということですね。

加給年金は211万円に含まれる?

含まれます

加給年金は65歳になったときに条件を満たした妻(夫)がいる場合に厚生年金に上乗せされる年金です。
所得を計算するときには、加給年金も含めた年金収入額から公的年金控除額を引きます。

遺族年金は211万円に含まれる?

含まれません。

遺族年金はいくらもらっていても、他の年金をもらっていても、お給料をもらっていても、課税所得にはなりません。

2020年から公的年金等控除額が改正されたが211万円の壁のままなのか?

211万円のままです。

2020年から給与所得控除、公的年金等控除の金額が変わりました。

基本的には-10万円されているので、221万円の壁になるんじゃないか?
と思うかもしれませんが、住民税非課税基準の計算式には+10万円が加えられます。
これは基礎控除額も改正されたからですね。

なので、今回の年金211万円の壁に関しては最終的にプラスマイナス0になります。
211万円の壁という年金収入の観点だと変わりません。

年金211万円の壁まとめ

これまでを簡単にまとめますと

・211万円の壁というのは年金の収入額で、65歳以上の控除対象配偶者がいる人が前提になっている。

・211万円以下で住民税が非課税になる。
(年齢、扶養親族、自治体で違いがあり)

・所得が少なければ、社会保険料や医療などでメリットがある。
(自治体で違いあり)

・繰り上げで調整することもできるが、繰り上げによるデメリットもよく確認する。

一口に211万円と壁といってもとても複雑でしたね。

211万円の壁というのは人によって異なるので、211万円に捕らわれるのではなく、
自分の所得はいくらなのか?
扶養親族などの有無
その結果、税金や保険料をいくら払うことになるのか?

まずはこういった自分の状況を把握することが大切だと思います。

 

 

 

最後までありがとうございました。

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