「公的年金だけでは老後の生活はとても成り立たない」
様々なところで言われていて、もう耳タコですよね。
平成31年度の老齢基礎年金の満額は780,100円です。
月額にすると約65,000円で年金だけで生活するのは明らかに難しいですよね。
厚生年金に加入していれば、いわゆる2階建ての部分が上乗せされますが、自営業者やフリーランスの方は1階部分だけです。
そのため自営業者を対象に様々な制度が用意されているわけですが、今回は老齢基礎年金に上乗せして年金額を増やす「付加年金」についてお伝えしたいと思います。
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付加年金とは?わかりやすく解説
毎月払っている年金保険料に少し上乗せして払うことによって、将来付け加えられた年金をもらいましょう。っていう年金制度です。
加入できる人は国民年金第1号被保険者と任意加入被保険者(60歳以降に任意で国民年金に加入する人)です。
納付する金額は月に400円で固定です。
将来受け取ることができる金額は納付した月数×200円
この金額が老齢基礎年金に上乗せされて生涯支給されます。
一見、払った金額の半分しかもらえないようなイメージですが実はとってもお得なんです。
実際に例をあげて計算してみたいと思います。
400円×480月(40年)=192,000円
1年間でもらえる付加年金額
200円×480月(40年)=96,000円
払った金額の半分が1年で回収できますね。
つまり2年で元が取れることになります。
3年目からは長く生きれば生きるほどプラスになっていきます。
最大でも年間で96,000円(月8,000円)と少額ですが、お手軽に年金を増やせるお得な制度だと思います。
さらに支払った保険料は本来の年金保険料と同様に社会保険料控除の対象で、所得控除できます。
もし厚生年金に加入(第2号被保険者)するようなことがあったとしても途中で解約することができますし、そのような場合でも掛け金は無駄にはなりません。
今まで払ってきた掛け金は将来の老齢基礎年金に上乗せされます。
付加年金はサラリーマンや専業主婦は加入できる?
自営業者やフリーランスの方などを対象とした年金なので、サラリーマンや専業主婦の方は加入できません。
もう少し細かく言うと、国民年金第1号被保険者だけしか加入できません。
会社に勤めていて社会保険料を払っていると年金制度では第2号被保険者になります。
この場合付加年金に加入することはできません。
また、サラリーマンの妻は?なんて聞かれることもありますが、これは妻の状況によります。
年金の扶養の制度では、配偶者の収入が一定以下だと扶養に入ることができます。
扶養になった人は第3号被保険者となり、保険料を払わないことになります。
この場合は付加年金に加入することはできません。
サラリーマンの妻だとしても、社会保険に加入してなくて、自分で年金保険料を払っていれば加入することができます。
ideco(個人型確定拠出年金)や国民年金基金との併用は?
付加年金は掛け金に対してもらえる金額を考えるとお得な制度ですが、金額が少ないですよね。
ならば「国民年金基金にも加入して、さらに年金を上乗せしよう」と、したいところですが残念ながら併用はできません。
国民年金基金には既に付加年金分の保険料が入っているので両方に加入することはできなくなっています。
idecoとの併用はできます。
但し注意点もあり、idecoは人により拠出できる金額の上限があります。
・自営業者等(国民年金第1号被保険者)月68,000円まで
・専業主婦等(国民年金第3号被保険者)月23,000円まで
となっています。
そしてidecoの申込単位は千円単位になっています。
なので付加年金とidecoを併用した場合、idecoの拠出できる限度額は
自営業者等、月67,000円まで
専業主婦等、月22,000円まで
となります。
老齢基礎年金の繰り下げをすると付加年金も増える
老齢基礎年金は65歳からの支給になりますが、前後5年の間で繰り上げてもらったり繰り下げてもらったりできます。
繰り下げてもらうことにより、繰り下げた月数×0.7%が加算されるのですが、付加年金も同時に繰り下げたことになり増額します。
逆に繰り上げた場合は老齢基礎年金も付加年金も減額します。
前納することで割引される
基本的には毎月400円の支払いですが、6ヶ月分、1年分とまとめて前払いすることにより少し割引があります。
口座振替 2,370円 30円お得
口座振替 4,700円 100円お得
少しですがまとめて払うことで割引になるので、長期的に加入することが決まっているかたは検討してみてはいかがでしょうか?
デメリットや注意点
ここまで付加年金について書いてきましたが、メリットばかりで悪いところが見当たらないですよね。
なにか裏があるんじゃないかと疑いたくなりますが僕はこれと言ってデメリットは無いと感じます。
しかし勘違いしてはいけないので気を付けておきたいポイントを押さえておきましょう。
①老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていないと付加年金はもらえません。
老齢基礎年金の上乗せに位置する制度なので、そもそも老齢基礎年金がもらえない状態だと付加年金ももらえません。
②障害基礎年金をもらっているなどで老齢基礎年金が支給停止されている場合は付加年金も支給停止されます。
こちらも①と同じで老齢基礎年金が支給されていない場合は付加年金ももらえません。
③国民年金保険料の免除を受けている場合は付加年金保険料を払う事はできません。
④老齢基礎年金をもらう前に亡くなると付加年金はもらえません。
⑤2年以内に亡くなると損をしてしまう。
⑥物価スライドではない。
例えばインフレが進み、今まで100円で買えたものが200円を出さないと買えなくなった場合でも付加年金の金額は固定です。
物の値段は上がっているけど付加年金額は変わらないので実質損になってしまうこともあり得ます。
まとめ
公的年金制度は2階建て構造になっていますが、会社員に比べて自営業者は少ない年金額になってしまいます。
そこを補う手段の1つとして付加年金制度があり、毎月400円支払うことによって老齢基礎年金に「加入月数×200円」が上乗せされます。
付加保険料の加入は市役所の年金コーナーで手続きすることができ、申し込みをした月から払い込むことができます。
解約する場合には辞退申出書を出すことですぐに解約できます。
「年金を増やす」と言った観点から見れば金額的には少し心もとないですが、対象者になっているのであれば加入必須だと思います。
idecoや個人年金などと併用もできるので様々な制度を視野に入れつつライフプランを立ててみて下さい。
こういったお得な制度ほど世の中に出回ってないんですよね。
未納や滞納をしていると通知が来るのに、還付金があるときなどは教えてくれませんからね。
自分勝手な気もしますが
「会社員を辞めて1号被保険者になるときに一緒に教えてくれればいいのに」
とか都合のいいこと考えながら書き終えてみました。
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