今の日本の離婚率は約35%と言われていて母子家庭になるのはそれほど珍しくない状況になっています。
しかしいざ母子家庭になると不安に思うことはたくさんありますよね。
今まで旦那さんの扶養として働いていた場合、金銭面での悩みもあると思います。
もちろんお子さんの将来のことも心配すると思います。
立派な大人になってもらいたいですもんね。
そのためにはあなた自身もしっかりしなければなりませんよね。
母子家庭の人の平均年収は200万円前後で、これまで専業主婦であったりパートであったりするともう少し少なくなるかもしれません。
しかし払わなくてはならないお金もあるのも事実です。
その一つに年金保険料がありますよね。
平成30年度(平成30年4月~平成31年3月まで)は月額16,340円(毎年度見直しされます)
いままで扶養でいた人にとっては安い金額ではないと思います。
しかし払うのが困難だからといって放置しておくのは一番やってはいけないことです。
払うのが困難な場合、免除や猶予の制度を使うことができるかもしれません。
そこで今回は
・母子家庭になると年金はいくらもらえるのか?
・年金保険料を払うのが難しいときの年金免除制度と納付猶予制度
・年金保険料を未納していた場合のデメリット
をお伝えしたいと思います。
母子家庭の年金はいくらもらえる?
残念ですが、離婚して母子家庭になったからと言って将来もらえる公的年金が増えるといった制度はありません。
基本的には今まで払ってきた期間や金額によって決まります。
よく2階建て構造といわれますが、
老齢基礎年金と老齢厚生年金を足した金額が将来支給されます。
簡単にこの2つの年金の計算方法をお伝えします。
まず老齢基礎年金ですが、基本的には20歳から60歳まで保険料を払うことになります。
40年間もれなく払うと満額もらうことができます。
平成31年度の満額は 780,100円(年額)です。
計算式は
780,100(満額)×480月(支払った月数)÷480月(40年)
もし5年間払っていない期間があったとすると
780,100円×420月÷480月
老齢厚生年金はお給料や働いていた時期、期間などで違いがあり、計算が複雑なので割愛させていただきますが、
月収20万円の人が20歳から60歳まで保険料を払っていた場合、約53万円(年額)になります。
会社に勤めていて社会保険に加入しているのであれば2つの年金を払っていることになりますが、専業主婦やパートで夫の扶養になっていた場合、3号被保険者となり保険料を払っていなかったはずです。
離婚をして夫の扶養ではなくなると、3号被保険者ではなくなり1号被保険者になります。
つまり自分で保険料を払う必要があります。
そうは言っても今まで扶養でいた人に保険料を払えと言われてもむずかしい場合もありますよね。
そういった場合に所得や年齢により、免除や猶予してくれる制度があります。
年金免除の要件と免除した場合の支給額
1号被保険者には年金保険料の納付が困難な人のために保険料の免除、猶予の制度があります。
母子家庭だから免除という訳ではなく、収入の少ない1号被保険者が利用できる制度ですね。
国民年金の免除は法定免除と申請免除の2つがあり、申請免除は4段階に分かれています。
法定免除は「障害年金を受給している人」「生活保護法の生活扶助を受けている人」です。
今回は申請免除の方を詳しく見ていきます。
申請免除の要件
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であることが要件です。
・全額免除
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
・4分の3免除
78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等・半額免除
118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等・4分の1免除
158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等出典:日本年金機構HP
(平成31年分給与所得控除額)
給与の収入金額 | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 収入金額×40%(最低65万円) |
180万円超360万円以下 | 収入金額×30%+18万円 |
360万円超660万円以下 | 収入金額×20%+54万円 |
660万円超1,000万円以下 | 収入金額×10%+120万円 |
1,000万円超 | 220万円(上限) |
(注)児童扶養手当分の給付額は所得に含まれません。
もしあなたが障害者・寡婦の条件に当てはまるのであれば上の要件に限らず、所得125万円以下(住民税非課税の要件と同じです)で全額免除になります。
母子家庭であれば多くの場合寡婦の条件に当てはまると思います。
この所得125万円以下は給与所得控除後の金額です。
給与収入だけであれば204万円以下です。
寡婦の要件などについてまとめた記事もありますのでよかったらご確認ください。
扶養親族等控除額とは?
所得控除の扶養控除の金額で、所得38万円以下の生計を一にする人がいる場合に使える控除です。扶養に入れた人数分足すことができます。
・16歳以上の人は38万円
・19歳以上23歳未満の人は63万円
・70歳以上の人は48万円(同居している場合は58万円)
社会保険料控除額等とは?
年末調整や確定申告で申告した金額です。
源泉徴収票や確定申告書の控えなどで確認しましょう。
免除を受けた場合の支給額
免除を受けると将来受け取る年金額が少なくなります。
免除期間が平成21年3月までの場合(左側)と平成21年4月以降(右側)で反映率が異なります。
老齢基礎年金額への反映 | ||
全額免除 | 3分の1 | 2分の1 |
4分の3免除 | 2分の1 | 8分の5 |
半額免除 | 3分の2 | 4分の3 |
4分の1免除 | 6分の5 | 8分の7 |
例えば、20歳から60歳まで保険料を納めた内、平成21年4月以降に5年間全額免除を受けた期間があった場合。
・普通に払った35年間(420月)
・全額免除を受けた5年間(60月)全額免除60月×2分の1=30月
420月+30月=450月
780,100円(平成31年度の老齢基礎年金の満額)×450月÷480月(全期間)=731,344円
少しややこしいですが、免除を受けた金額に応じて支給される金額も減ります。
納付猶予制度
50歳未満の1号被保険者で所得が一定以下の人は申請によって保険料の納付が猶予されます。
支払いを待ってくれる制度ですね。
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であることが条件です。
・(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
猶予されている期間は受給資格期間には反映されますが、受給額には反映されません。
年金の免除も猶予も10年以内であればあとからその期間の保険料を払うことができます。
但し、翌翌年度以降に払う場合は少し加算した額を払うことになります。
一度免除を受けたからといって放っておくのではなく、余裕がでてきたときに少しづつ払っていけば将来受給できる金額を増やすことができます。
免除を受けているにもかかわらず保険料を払わなかった場合は未納扱いとなってしまい、後から払うことも出来なくなりますので注意が必要です。
年金未納のデメリット
年金保険料を払うことがむずかしくても免除や猶予の制度があることをお伝えしました。
しかし、こういった制度があるにも関わらず1号被保険者で未納の状態の人が現状40%くらいいるのです。
世の中には「年金制度自体が破綻する」「保険料を払っても、払った以上もらえない」といった意見もあるようですが、僕としては払わないことによるデメリットのほうが多い気がします。
年々強制徴収がきびしくなり、放っておけば資産の差し押さえが実施されます。
たしかに年金未納の時効は2年であり、2年を過ぎれば催促されなくなるのですが、その前に督促状が届くようになっています。
この督促状が届くと2年の時効は中断され、延滞金も発生します。
「2年間我慢すればいいや」って問題ではないのです。
また、国民年金は老後のためだけの年金ではありません。
障害年金、遺族年金も未納の状態が続いていると受け取ることができません。
しかし免除や猶予している状態であればちゃんと受け取ることができます。
まとめ
母子家庭だからといって年金受給額が増えるといった制度はなく、保険料を払った期間、金額に応じて将来もらえる年金が決まります。
「母子家庭だから年金は○○円」と、断言することはできないんです。
保険料を払うことが困難な場合、所得に応じて保険料の免除や猶予を受けることができます。
しかし免除や猶予を受けた期間はあとから払わなければ将来受け取る年金額は減ってしまいます。
もし今、保険料を払うことが困難であれば市役所の年金窓口や年金事務所で相談してみても良いと思います。
未納の状態にしておくことだけは絶対やめましょう。
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